学生アルバイトこそ確定申告して税金を取り返せ!
最終更新日:2021年4月26日
学生でアルバイトをしている方はたくさんいますが、その中できちんと確定申告している方はどのくらいいるのでしょうか?
「めんどくさいし、よくわからないし、ていうか、そもそもそんなこと知らないし」っていう感じですよね。
でも、確定申告をすると、お金が戻ってくるかもしれませんよ!
学生アルバイトの方こそ確定申告してください。
目次
アルバイトは給与所得者
アルバイトってなんでしょう?
学生やフリーターなどの若い人が、あいている時間を使って仕事をするイメージがあります。
企業によっては、正社員以外の学生の労働者をアルバイトと呼び、それ以外のフリーターや主婦などをパートナーとかパートさんと呼んでいるところもあるようです。
でも、実はアルバイトもパートタイマーも法律上の違いはありません。嘱託、契約社員、準社員なども同じ分類です。
どれも、時間や日数、または契約期間が正社員より短い労働者であり、給与所得者(企業などから収入を得ている人)です。
年収103万円を超えたら所得税を払わなくてはいけない
給与をもらっている人は、年間(1月〜12月)の収入が103万円を超えた場合、「所得税」という税金を納めなくてはいけないことになっています。
所得税というのは収入を得た人が払わなくてはいけない国税です。
でも、「あとでまとめて1年分納めてね」というと、「お金がなくなっちゃった」と言って納めてもらえなくなる可能性があります。
そこで、あらかじめ給与からおおよその金額で税金を差し引いてしまおう、という決まりになっているのです。
それを「源泉徴収」といいます。
月収が8万8,000円以上になると自動的に源泉徴収されます。
「年末調整」で税金の過不足を調整する
給与を支払っている企業は、労働者の給与から差し引いた税金を預かって、労働者の代わりに税務署に納めます。
12月になって1年分の給与を合計して、その金額に正しい税率をかけて計算し直してみて、税金を納めすぎていた場合には税金を返してくれます。反対に足りない場合は12月の給与から足りない分が差し引かれます。この再計算をすることを「年末調整」と言います。
たとえば8月に集中的にアルバイトをして、1ヶ月に20万円の収入があったとすると、そこから自動的に所得税が引かれてしまいます。
けれども、他の時期にアルバイトの収入がなかったのであれば、年間収入の合計が103万円を超えないので、所得税を払う必要はありませんから、引かれた税金を返してもらえるのです。
アルバイトを1カ所だけでしていて、年末にも同じところに所属していれば、企業で年末調整をしてもらうことができます。
年末になる前にアルバイトをやめてしまった場合には年末調整はしてもらえないので、自分で確定申告をしなければ、払ってしまった税金を返してもらうことはできません。
また、年末調整は1つの企業でしかやってもらえないので、何ヶ所かで掛け持ちアルバイトをしたり、いくつも単発のアルバイトをしたりしている場合も確定申告をする必要があります。
確定申告って何?
「確定申告」という言葉はよく聞いたことがあると思います。でも意味は知らないかもしれませんね。
確定申告というのは、1年間の収入に対する税金の額を確定させるための手続きのことです。
企業がやってくれる年末調整で完結する人は確定申告をする必要はありません。
税務署で確定申告をするなんてなんだかこわそうで、おこられそうなイメージがありませんか?それから、とってもめんどくさくて意味のわからない書類を書かなくてはいけないと思っている人がいるかもしれません。
昔はそうだったかもしれませんが、今はそんなことはありません。
わからないことは親切に教えてもらえますし、提出する書類は国税庁の「確定申告書等作成コーナー」というサイトを使うと自動計算してくれて簡単に作ることができます。昔は手計算でしたから、きっと大変だったでしょうね。
確定申告の期間は、給与をもらった年の翌年2月16日から3月15日の間で、税金を納める場合には1日でも過ぎると延滞税(罰金)がかかってきます。
提出はオンラインでする方法や、書類を印刷して税務署に持参する方法などがありますが、書類を印刷して本人確認書類や源泉徴収票などの必要書類と一緒に郵送するのがおすすめです。郵送料はかかりますが、交通費がかからず、窓口で長く待たされることもありません。
2019年からスマートフォンで確定申告ができるようになりましたが、年末調整済みの給与所得者、1カ所からの支払いを受けている人など、使用できる人の条件があるので、使えないこともあります。
還付申告は5年さかのぼれる
今まで毎年税金を取られ過ぎていたのに、確定申告で返してもらえるなんて知らなかったから損しちゃった〜!
という方も、ご安心ください。
納めすぎた税金を返してもらうための還付申告は、確定申告の期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間することができます。ということは、5年分さかのぼって申告することができるということです。
その場合、年度ごとに申告書の用紙が違いますので、間違えないように気をつけてください。
また、源泉徴収票などの書類がそろわない場合は還付申告することはできません。
書類などに問題がなければ、1〜2ヶ月後に指定した金融機関の口座に返金してもらえます。
まずは勤務先に源泉徴収票を発行してもらおう
「源泉徴収票」とは、企業が支払った給与と所得税の金額が書かれた書類です。年末から1月末にかけて自動的にくれる企業もありますが、まれにこちらから言わないとくれないところもあります。
また、もらったものをなくしてしまった場合にも再発行してもらうことができます。
源泉徴収票の「支払金額」の欄を見て、収入が103万円を超えていないのに「源泉徴収税額」(支払った所得税額)に金額が書かれていれば、その全額を返金してもらうことができます。「源泉徴収税額」が0円ならそもそも所得税を払っていないので返金はありません。
上の写真の例の場合、支払金額は866,974円で103万円を超えていないのに、源泉徴収税額が28,994円になっていますので、この28,994円を返金してもらうことができます。
支払金額が103万円を超えている場合は、返金してもらえる場合もありますが、金額によっては追加で税金を払わなければならないこともあります。
1年間にかせぐ金額に注意しよう!
1年間の収入が103万円を超えたら所得税を払わなくてはいけないというお話をしてきました。
実は、税金にはもう一つ「住民税」(市県民税・市町村税など)というものがあります。
それぞれの自治体によって多少違いがありますが、ほとんどの場合は年収100万円を超えると翌年の「住民税」を払わなければならなくなります。年収101万の場合の1年間の住民税は6,500円程度です。
ですから、もし、年収が100万円を超えた場合には、確定申告をしなければいけません。(※20歳未満の方は優遇されていておよそ年収204万円以下なら住民税はかかりませんが、103 万円を超えたら所得税の確定申告をします。)
それから学生アルバイトの年収が103万円を超えてしまった場合、扶養者(たいていの場合は父親)が支払う税金の額が高くなってしまいます。子どもに103万円を超える収入があると扶養控除(16~18歳は1人当たり38万円、19~22歳は1人当たり63万円)を受けられなくなるからです。
扶養控除というのは、子どもを養うのにお金がかかるだろうから、税金の計算をするときに計算の元になる収入を少し少なくして計算していいよという、優遇のことです。その優遇が受けられなくなるので税金の額が上がってしまうのです。年収700万円程度の方なら10〜15万円ほど高くなります
父親の勤める企業が家族手当を出してくれている場合、それももらえなくなってしまいます。学生一人の家族手当は年間6万円〜18万円ぐらいです。
さらに学生アルバイトの年収が130万円以上になると(3ヶ月連続して毎月10万8千円を超えると)、親の健康保険から抜けて、学生自身が国民健康保険料を支払わなければならなくなります。年収130万円の場合の国民健康保険料は年間に7万5千円程度です。
これらのことを考えると、親に扶養されている学生のうちは、100万円を超えない範囲でアルバイトをするのが家族全体の収支から見ると効率の良い働き方だと言えます。
もし、年収が103万円を超えてしまった場合には、扶養者(親)の勤め先に早めに連絡をするようにしてください。
年収が上がった場合にどんなことが起こるかを表にまとめてみました。
100万円を超える (20歳以上の場合) | 住民税がかかる |
103万円を超える | ・所得税がかかる ・親が扶養控除を受けられなくなる |
130万円以上(3ヶ月連続して毎月10万8千円を超える) | 親の健康保険から抜けて自分で国民健康保険に加入しなければならない |
194万円を超える(給与所得控除後の場合は128万円を超える) | 国民年金保険の学生納付特例を受けられなくなる |
約204.4万円を超える(給与所得控除後の場合は135万円を超える)※20歳未満の場合 | 住民税がかかる |
まとめ
給与をもらっている学生アルバイトは、年間(1月〜12月)の収入が103万円を超えた場合、「所得税」という税金を納めなくてはいけないことになっています。
年間収入の合計が103万円を超えない場合、給与から差し引かれた税金は、「年末調整」で返してもらえます。
企業で年末調整をしてもらえない場合は、「源泉徴収票」をもらって自分で確定申告をしましょう。
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」というサイトを使うと簡単に書類を作ることができます。
納めすぎた税金を返してもらうための還付申告は、確定申告の期間とは関係なく、5年分さかのぼって申告することができます。
様々な優遇が受けられなくなることがあるので、親に扶養されている学生のうちは、年間に稼ぐ金額には注意が必要です。
「年末調整で税金を取り戻せることがよくわかるようになるお話」はこちらをご覧ください。↓
「年末調整の申告書の難しい言葉をわかるようにする」はこちらをご覧ください。↓