ヴァチカン美術館でベテランガイドとまわった初心者おすすめのコース
ヴァチカン市国はローマ教皇の居住地で、カトリック教会の総本山です。イタリアのローマ市の中にありますが、世界最小の独立国家で、イタリアではありません。
ヴァチカン市国は貴重な美術品と建築物の宝庫で、ヴァチカン市国の全てが世界遺産として登録されています。
中でも世界最大級の美術館と言われるヴァチカン美術館はぜひ訪れていただきたい観光スポットです。
けれども、あまりにも広大な美術館なので、時間が限られている旅行者にはとてもわかりづらく、難易度が高い場所になっています。
初めてヴァチカン美術館を訪れる旅行者の方でも効率よく鑑賞ができるように、今回は私がベテランガイドさんとまわった初心者おすすめのコースをご紹介していきます。
(上の写真は入り口ではなく、入り口の横にある有名な出口。ミケランジェロとラファエロの彫像。)
目次
ヴァチカン美術館は巨大な迷路だ
歴代のローマ教皇は芸術家を手厚く保護して美術品をたくさん収集したため、現在その数は膨大になっています。全てをちゃんと見るのには1週間かかるほどと言われています。
美術館を全てまわると7キロメートルにもなるので、上手にまわらないとヘトヘトに疲れてしまううえ、時間がたりなくなって観たいものが観られなかったということになりかねません。
ヴァチカン美術館はたび重なる増築で、いくつもの美術館や図書館、宮殿、礼拝堂などが複雑に入り組んでいます。
階段や回廊、細い通路などがあって迷路のようで、ただでさえわかりにくい場所に、ひしめくように大勢の人がいるので、どこを歩いているのかがわからなくなってしまいます。
行くべき場所と観るべきものにポイントをしぼり、それ以外の場所はサッと通り過ぎることが大切です。
初心者におすすめのコース
ベテランガイドさんとまわった初心者におすすめのコースは次のようなコースです。
入り口 → 1階スタート地点 → 八角形の中庭 、 ピオ・クレメンティーノ美術館 → 2階へ
タペストリーのギャラリー → 地図のギャラリー → ラファエロの間 → 1階へ → システィーナ礼拝堂
バチカン美術館で1番観なければいけないのはシスティーナ礼拝堂です。その次に見なければいけないのがラファエロの間です。どちらもコースの1番最後のほうなので、コースの手前で時間をかけすぎないようにすることが大事です。
このコースの所要時間は大体3時間位です。
システィーナ礼拝堂は神聖な場なので、半ズボンやミニスカート、ノースリーブなど露出の多い服装で入ることはできません。声を出すことも禁じられています。カメラやビデオも禁止です。礼拝堂の中でガイドをすることも許されていないので、ガイドさんは外で待っていてくれます。
次に、必ず観て欲しい展示をピックアップします。
もちろん、それ以外のものも通り道に山ほど展示されていますので、その他の展示は時間がかからないように歩みを止めずに鑑賞してください。。
八角形の中庭 ピオ・クレメンティーノ美術館
「ヴェルベデーレのアポロ」
古代ギリシアの太陽の神。美しい彫刻として有名です。
そういえば、高校生の時に木炭デッサンしたの、これだった!こんなところでお目にかかれるとは!その時は上半身だったからこんな立ち姿だとは知りませんでした。
「ラオコーン」
八角形の中庭で最も有名な彫刻で、ギリシア神話に出てくるラオコーンを表現しています。
フィレンツェのウフィッツィ美術館にも、この彫刻のレプリカが飾られています。
「ヴェルベデーレのトルソ」
トルソとは手、足、頭のない胴体だけの彫像のことをさしています。
この彫像はアテネの彫刻家アポロニオスが作成したと言われていますがいったいどんなものなのか、はっきりしたことはわかっていません。
このたくましさ、力強さ、筋肉の美しさを表現できた古代ローマの技術の高さに驚きます。
世界で一番人々に見つめられるトルソです。
2階廊下のギャラリー
ラファエロの間やシスティーナ礼拝堂に行くために通らなければならない廊下なので、夏のピークシーズンにはとても混む場所です。なかなか前に進めないこともあります。
タペストリーのギャラリー
キリストの生涯をタペストリーにして展示してあります。
天井はレリーフのように見えますが、彫られたものではなく描かれているものです。
レリーフでもすごいのでしょうが、レリーフに見える絵ってすごくないですか?言われなければ気がつきません。
地図のギャラリー
1500年代にグレゴリウス13世が描かせたイタリアの地図が展示されています。
イタリアの人は、自分の住んでいる場所を探して喜ぶのだとか。
ここでの見どころは天井です。きらびやかで豪華でため息が出ます。
ラファエロの間
ラファエロの間には4つの部屋があります。
教皇ユリウス2世の居住用として作られた部屋で、コンスタンティヌスの間、ヘリオドロスの間、署名の間、ボルゴの火災の間です。
壁や天井の絵はラファエロとお弟子さんたちによって描かれました。
「教皇レオとアッティラの会談」(ヘリオドロスの間)
「ヘリオドロスの神殿からの追放」(ヘリオドロスの間)
一番初めに作られた署名の間のフレスコ画はラファエロ自身が描いたとされており、特に有名です。
「聖体の論議」(署名の間)
上部にキリスト、その両側に聖母マリアと養父ヨハネ、キリストの上に父なる神が描かれています。
「アテネの学堂」(署名の間)
中央で右手を挙げているのがプラトンで、モデルはレオナルド・ダ・ヴィンチ。
真ん中手前で座って四角い台に肘をついているのはヘラクレイトスで、モデルはミケランジェロ。
右端のオレンジ色の服を着た人の右上からこちらを見ているのはラファエロ自身だとか。
けっこう楽しみながら描いていたんだなあ。
システィーナ礼拝堂

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システィーナ礼拝堂は、新しい教皇を決める選挙「コンクラーベ」が行われるとても神聖な場所です。
歴史の教科書で有名なミケランジェロの「最後の審判」と天井に描かれた「天地創造」を観ることができます。
これを観れば、ヴァチカン美術館に来た甲斐があるというものです。
「最後の審判」はミケランジェロが62〜66歳の時に描いた作品です。人々が天国と地獄に振り分けられていく様子が描かれています。
キリストは筋骨隆々でたくましく、それまでの痩せているイメージとは違った描かれ方をしています。
真ん中上部で片手を上げているのがキリストですが、その右下のひげをはやした人が人間の皮をぶら下げています。その人間の皮の顔がミケランジェロ自身を描いたものと言われています。

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「天地創造」はミケランジェロが33歳から38歳にかけて描きました。
旧約聖書に出てくる創世記の「アダムの創造」や「ノアの大洪水」などの物語が生き生きと描かれています。
これだけの大作を一人で何年もかけて黙々と仕上げたミケランジェロ、本当に神業としか言いようがありません。
まとめ
世界最大級の美術館と言われるヴァチカン美術館を初めて訪れる旅行者の方でも効率よく鑑賞ができるように、私がガイドさんとまわった初心者おすすめのコースをご紹介しました。
行くべき場所と観るべきものにポイントをしぼり、それ以外の場所はサッと通り過ぎることが大切です。
入り口 → 1階スタート地点 → 八角形の中庭 、 ピオ・クレメンティーノ美術館 → 2階へ→
タペストリーのギャラリー → 地図のギャラリー → ラファエロの間 → 1階へ → システィーナ礼拝堂
そして、コース最後のラファエロの間とシスティーナ礼拝堂で、じっくりとフラスコ画を鑑賞できるようにしましょう。
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