ふるさと納税って実際お得なの?
最終更新日:2021年10月22日
ふるさと納税をすると、寄付したお金がほとんど戻ってくる上に、豪華な返礼品がドッサリ送られてきて、お得!
こんな言葉、よく耳にしたり目にしたりしますよね?
寄付して得するって、いったいどういうこと?
寄付したお金が戻ってきたら、寄付した意味がないじゃない?
そんなうまい話、何か裏があるんじゃない?
などなど、疑問がグルグル頭の中をかけめぐります。
わかっているようで意外とよくわからない「ふるさと納税」の仕組みについて、また、そのメリットや、問題点、注意点、ふるさと納税をする方法を解説していきます。
目次
ふるさと納税とは寄付である
進学や就職をするタイミングで地方から東京などの大都市に出てきて、そのままずっと住み続けている人はたくさんいます。
住民税は住んでいる場所の自治体に収めるものなので、地方から来た人たちが増えると大都市の税収は増えます。反対に、地方出身者が住んでいた故郷は人口が減るので税収も減ってしまいます。
そのままでは地方は財政難におちいってしまうので、生まれた時から医療や教育など、いろいろな形でお世話になっていたふるさとに、税金を収めて恩返しができるようにしよう、というのが「ふるさと納税」の始まりです。
他にも、被災地の復興のために寄付したい、過疎の村を救いたい、環境への新たな取り組みを応援したいなど、さまざまな理由で自分の好きな自治体に寄付することができます。
名前は「納税」ですが実際は「寄付」です。
寄付なのに、寄付した金額のほとんどが戻ってくる?!
自分が寄付したい自治体に寄付をすると、寄付した金額の2000円を超える部分の金額と同じだけ税金が戻ってきます。
寄付なのに、戻ってくる???
どういうことなのでしょうか?
私たちは収入を得た年に、その収入に応じて所得税という税金を国に払います。そして翌年、収入に応じた金額の住民税を、自治体に支払います。
例えばA市に20,000円ふるさと納税(寄付)をした場合を考えてみましょう。
A市に20,000円ふるさと納税(寄付)をしたら、20,000円から 2,000円を引いた残りの 18,000円のうちの一部がその年の所得税から戻ってきます(還付)。そして、18,000円のうち所得税で戻しきれなかった分を、翌年払う予定の住民税から減額してくれます。
ということは、もともと払うはずの税金の宛先をA市に変えたことと同じです。税金はA市に払ったから、その分を返してちょうだいね、ということです。
20,000円ふるさと納税(寄付)して18,000円しか戻ってこないなら2,000円少なくなるじゃない?
それなら損だ!と思いますよね?
いいえ、実は、もっといいことがあるのです。
ふるさと納税をするメリットとは何でしょう?
ふるさと納税をするメリットとは
ふるさと納税(寄付)をすると、寄付をした自治体からお礼の品(返礼品)が送られてきます。
その価値が2.000円をはるかに上回るものだったらどうでしょう?例えば、10,000円相当のお米や農産物、お肉、海産物などの特産品です。8,000円分得をしてラッキー!!!って、なりますよね?
これが多くの人をひきつけているメリットです。
2,000円払ったら10,000円の物をもらえる!
とっても魅力的ですね!
返礼品の品物はその地方の特産品であることが多いので、返礼品をたくさん用意することで、地元の産業の活性化につながっています。自分が寄付することで、その地域を応援し元気にすることができる、これもメリットのひとつということができます。
ふるさと納税の問題点
高価な魅力ある返礼品は多くの人をひきつけ、ふるさと納税をする人が増えましたが、その一方で問題点も出てきました。どんな問題点があるのでしょうか。2つあげてみましょう。
本当に寄付金を必要としている自治体に寄付金が集まらない
1つ目の問題点は、ふるさと納税が返礼品合戦のようになってしまい、本当に必要としている自治体に寄付金が集まらなくなってしまったことです。
返礼品として良いものを付けると、それを目当てにふるさと納税の寄付金がたくさん集まるので、自治体の返礼品はどんどん高価な物へとエスカレートしていきました。
人々は寄付という目的よりも、返礼品のほうに目をうばわれてしまい、高価でお得な返礼品をくれる自治体にばかり寄付金が集まるようになりました。多くの人から寄付を受けた自治体は何百億円もの金額を手にすることができました。反対に、本当に寄付金を必要としている自治体には寄付金が集まらなくなってしまったのです。
寄付をたくさん集めるために、地元の特産品ではない物や金券などを返礼品として出す自治体も出てきたため、2019年4月に、返礼品は地場産品であること、金額は寄付額の3割以下にすることが決められました。
守らない自治体は2019年6月以降ふるさと納税の対象からはずされることになり、はずされた大阪府泉佐野市が裁判を起こすなど、大きな社会問題になりました。
ふるさと納税の本来の意義を見直そうと、返礼品を取りやめることにした自治体も出てきましたが、ふるさと納税への対応は自治体によってばらつきがあります。
自分の居住地のサービスが低下する
2つ目の問題点は、ふるさと納税をすると、寄付した人の住んでいる場所の自治体のサービスが低下することです。
ふるさと納税(寄付)をしたら、寄付した金額から2,000円を引いた残りのうちの一部をその年の所得税から返してくれて(還付)、所得税で戻しきれなかった分を、翌年払う予定の住民税から減額してくれます。
ふるさと納税をした時に返してくれるお金のほとんどの出どころは自分の住んでいる自治体の住民税です。ふるさと納税をすると自分の居住地のお金が減ることになります。居住地でふるさと納税をする人が増えれば増えるほど、自分の居住地の自治体は貧乏になって公共サービスが低下します。ふるさと納税をしていない人もその影響を受けることになります。
また、ふるさと納税をしていない人から見ると、ふるさと納税をした人は居住地に税金を払っていないのに同じサービスを受けていて、そのうえ返戻品をもらっているのは不公平だと感じます。
注意!ふるさと納税をすると、損をする人がいる
ふるさと納税をした時に戻してくれるお金は、もともと自分が払った所得税と、翌年に自分が払う予定の住民税です。
その所得税と住民税を払っていない人は、戻すべきお金がないので、ふるさと納税をしてもお金が戻ってきません。
例えば、全く税金を払っていない人が20,000円ふるさと納税をしたとすると、6,000円程度の返礼品はもらえますが、残りの14,000円位の金額は戻ってこないので、純粋に14,000円寄付をしただけということになってしまいます。
では、どんな人がふるさと納税をした時に損をする人なのでしょうか?
- 収入が少なく、所得税と住民税の額が少ないか、払っていない人
- 扶養家族(養っている家族)の人数が多く、扶養控除額の多い人(すでに税金が割引かれている)
- 住宅ローン控除やideco、医療費控除などがある人(すでに税金が割引かれている)
扶養家族(養っている家族)の人数や年齢によって、収入がいくらだったら損をしないでふるさと納税ができるか、を調べることができる一覧表を総務省が出しています。
この表を見て、ご自身の年収や家族構成から、いくらまでふるさと納税ができるのか、もしくは、ふるさと納税をしたら損をするのかを確認してからふるさと納税をするようにしましょう。
自分の年収などを入力して調べられるシミュレーションもあります。
住宅ローン控除やideco、医療費控除などをしている場合などは、計算が複雑になります。いくらまでふるさと納税をすることができるか、住んでいる市区町村の住民税の担当者に問い合わせて計算してもらうことをおすすめします。
さて、ふるさと納税について、メリットや問題点、注意点がおわかりいただけたところで、実際にどうやってふるさと納税(寄付)をすればいいのか、その方法を簡単にお伝えします。
ふるさと納税(寄付)をする方法
1. ふるさと納税をする自治体を決めて申し込む
ふるさと納税するための窓口は2通りあります。
①寄付したいと思う自治体と直接やりとりする。
電話、F A X、メールの他、自治体のホームページで申込書がダウンロードできたり、ふるさと納税サイトへ飛び、そこから申し込めるようになっていたりする自治体もあります。
②ふるさと納税サイトを利用する。
ふるさと納税を返礼品から選ぶことができるような専用のサイトがいくつもあります。
今年はコロナの影響で高級な和牛や海産物が売れず、余って困っているものを通常の2〜3倍に増量したお得な返礼品がたくさん出ています。
また、新型コロナウイルス と闘う医療従事者を支援するための寄付なども用意されています。
困っている人のお役に立てるような寄付を多くの方がしてくださると嬉しいですね。
2. 返礼品と「寄付金受領証明書」が送られてきます。
この寄付金受領証明書は、のちに確定申告をする場合に必要になりますので、振込用紙や納入通知書(納付書)といっしょになくさないように保管しておいてください。
3. 確定申告をする
ふるさと納税をした年の翌年、2月16日から3月15日の間に確定申告をすることで、寄付した金額から2,000円を引いた残りの金額が、所得税の返金と住民税の減額という形で戻ってきます。
確定申告はむずかしいと思っている方が多いですが、今はスマホからも確定申告が簡単にできるようになっているので、ぜひチャレンジしてみてください。
どうしても確定申告はめんどうだという方は、確定申告の必要のない会社員(給与所得者)なら、
「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が便利です。
「ふるさと納税ワンストップ特例制度とその申請方法」はこちらをご覧ください。↓
1月10日までに「ふるさと納税ワンストップ特例の申請書」を提出すれば確定申告をしなくても、税金が戻ってきます。
(注)ふるさと納税をする自治体の数に制限はありませんが、寄付をする自治体の数が6ヶ所以上である場合は、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を利用することができません。
※2,000円の自己負担分は、1月~12月の1年間の寄付金総額に対して必要となるものです。1回ごとに必要となるものではありません。
※確定申告をしてお金が戻ってくるのは所得税や住民税を払っている本人なので、働いていない奥さんが、自分の名前でふるさと納税をして、自分の名前で確定申告をしても何も戻ってきませんので注意してください。
まとめ
ふるさと納税とは自分が寄付したい自治体に寄付をすると、寄付した金額の2000円を超える部分の金額と同じだけ所得税や住民税が戻ってくる制度です。
高価でお得な返礼品をくれる自治体にばかり寄付金が集まるようになり、本当に寄付金を必要としている自治体には寄付金が集まらない、という問題点が指摘されるようになりました。
また、ふるさと納税をする人が増えれば増えるほど、自分の居住地の自治体は貧乏になって公共サービスが低下するという問題点もあります。
ふるさと納税をしても、お金が戻ってこない場合もあるので、いくらまでふるさと納税ができるのか、もしくは、ふるさと納税をしたら損をするのかを確認してからふるさと納税をするようにしましょう。
そして、ふるさと納税(寄付)をしたら確定申告を忘れずにしましょう。